セメントを使わずCO₂を約7割削減 JFEスチールなどが新コンクリートの量産化技術を開発

セメントを使わずCO₂を約7割削減
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セメントを使わないコンクリートの量産化技術

JFEスチールは2026年7月1日、宇都宮大学、西松建設、共和コンクリート工業と共同で、「アルカリ活性材料コンクリート」の量産化技術を開発したと発表しました。

アルカリ活性材料コンクリートは、英語名の「Alkali Activated Material」から「AAMコンクリート」と呼ばれます。

一般的なコンクリートで使われる普通ポルトランドセメントを使用せず、製鉄所で発生する高炉スラグ微粉末などを主原料として、アルカリ溶液で固める建設材料です。

JFEスチールによると、製造時のCO₂排出量を一般的なコンクリートと比べて約7割削減できるとされています。

製鉄所の副産物を建設資材として利用

高炉スラグは、鉄を製造する過程で生まれる副産物です。

これを細かく砕いた高炉スラグ微粉末は、これまでもセメント原料などに利用されてきました。今回のAAMコンクリートでは、普通ポルトランドセメントを使わず、高炉スラグ微粉末を中心とする材料を固めてコンクリートとして利用します。

製鉄所の副産物を建設材料として循環利用できれば、セメント製造に伴うCO₂排出を抑えながら、国内で発生する資源を有効活用できる可能性があります。

量産化を妨げていた流動性の問題

AAMコンクリート自体は以前から研究されていましたが、実際の建設現場で大量に使うには課題がありました。

従来のAAMコンクリートは粘性が高く、製造後10分から20分程度で流動性を失い始めます。

コンクリートは、製造プラントで混ぜた後、施工現場まで運搬し、型枠などへ打ち込む必要があります。短時間で固まり始める材料では、運搬距離や施工時間が大きく制限されます。

既存のコンクリート製造設備を使った場合に、設備へどのような影響を与えるかも量産化に向けた課題でした。

既存の実機プラントで製造

共同研究チームは、材料の投入方法、混ぜる条件、製造後の洗浄手順などを整理し、実際の混錬プラントを使って検証しました。

その結果、既存設備への影響を抑えながら、安全に製造・運搬・施工する量産化技術を開発したとしています。

単に研究室で材料を作る段階ではなく、実際のコンクリート製造設備と施工現場を使い、通常のコンクリートと同様の工程で扱えることを確認した点が今回の重要な進展です。

倉敷地区の基礎工事へ適用

JFEスチールの西日本製鉄所・倉敷地区では、AAMコンクリートを基礎工事へ適用しました。

公表された使用量は次のとおりです。

  • プレキャスト床版:10.8立方メートル
  • 現場打設:6.0立方メートル
  • 合計:16.8立方メートル
  • CO₂削減量:約2.6トン

施工は西松建設が担当し、プレキャスト床版の製造にはランデスが協力しています。

千葉地区では側溝を製造

JFEスチールのスチール研究所・千葉地区では、AAMコンクリートで浸透側溝10個を製造し、実際に設置しました。

使用量は1.8立方メートルで、プレキャスト製造には共和コンクリート工業、施工にはJFEシビルが参加しています。

基礎工事だけでなく、異なる形状のコンクリート製品でも製造・施工を検証していることから、今後は適用できる部材や用途が増える可能性があります。

4者が担う役割

今回の開発には、異なる役割を持つ4者が参加しています。

JFEスチール

製鉄所から発生する高炉スラグを活用し、材料と量産化技術の開発を中心となって進めています。

宇都宮大学

コンクリート材料、耐久性、資源循環などに関する研究面を支えています。

西松建設

実際の建設現場における製造、運搬、現場打設など、施工技術を担当します。

共和コンクリート工業

側溝などのプレキャストコンクリート製品を製造し、今後の製品化と適用拡大を担います。

研究機関だけでなく、材料供給、施工、コンクリート製品の製造までを担当する組織が参加していることは、社会実装を進めるうえで重要です。

日本の低炭素建設技術として広がるか

この技術が普及すれば、製鉄所の副産物を国内で循環利用しながら、建設時のCO₂排出量を削減できる可能性があります。

鉄鋼、建設、コンクリート製品という日本の産業基盤を組み合わせた技術であり、国内のインフラ工事だけでなく、将来的には海外の低炭素建設市場へ展開できるかが注目点です。

ただし、現時点で公表されているのは量産化技術の開発と実構造物での実証です。

一般販売の開始時期、従来コンクリートとの価格差、年間供給能力、長期間使用した場合の耐久性、適用できる建築・土木構造物の範囲などは、今後確認する必要があります。

未来産業地図では、西松建設と共和コンクリート工業を通じた適用拡大、新たな採用工事、外部販売、量産規模などを継続して確認します。

根拠資料

※本記事は企業・研究機関の公式発表を基に、技術の進展を整理したものです。特定企業の株式購入や投資を推奨するものではありません。

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この記事を書いた人

趣味を兼ねた骨董品の売買を経て、株式やFXなどの投資に関心を持つようになりました。

投資先を考える根拠として日本企業の技術を調べる中で、見つけた情報とその後の進展を記録する必要性を感じ、AIの力を借りて「未来産業地図」を制作。

技術・企業・プロジェクトを結び付け、研究、実証、量産、商用化までの動きを継続して追跡しています。

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