TECHNOLOGY PROFILE
iPS細胞樹立・培養工程自動化技術
Automated iPS Cell Establishment and Culture Technology
技術概要
患者の血液由来細胞からiPS細胞を作り、安定して増殖できる状態にする樹立・培養工程を、閉鎖された装置内で自動化する技術です。熟練者の手作業を機械化し、品質の安定、汚染リスクの低減、製造コストの削減を目指します。
技術詳細
iPS細胞は、皮膚や血液などから採取した体細胞に特定の因子を導入し、さまざまな種類の細胞へ変化できる状態に戻した人工多能性幹細胞です。
iPS細胞を医療や研究に利用するためには、採取した細胞を初期化し、iPS細胞として安定的に増やせる状態にする「樹立」と「培養」の工程が必要です。
従来の樹立・培養工程では、熟練した技術者が細胞の状態を確認しながら、分離、試薬の投入、培地の交換、細胞の移し替えなどを行ってきました。
細胞は温度や振動、液体の流れ、外部環境の影響を受けやすいため、単純な産業用ロボットだけでは扱うことが難しい対象です。
iPS細胞樹立・培養工程自動化技術は、熟練者による繊細な手作業を装置内で再現し、患者の血液由来細胞からiPS細胞を樹立するまでの工程を自動で行います。
パナソニックHDが開発した実証装置では、「分離」「初期化」「培養」の工程を約2~3週間かけて実施します。
装置内部を外部環境から隔離した閉鎖系とすることで、菌や異物が混入するリスクを抑えます。また、人による操作の違いを減らし、工程の再現性と細胞品質の安定化を目指します。
将来的にこの技術が実用化されれば、細胞製造に必要な熟練者の負担軽減、製造拠点の拡大、患者ごとの細胞を扱う個別化医療への対応などにつながる可能性があります。
ただし、現在は実証段階です。装置で作られたiPS細胞を実際の治療へ使用するには、臨床用途に必要な品質基準、法規制、安全性、長期的な運用安定性などを確認する必要があります。
