パナソニックHD、窓で発電するガラス型ペロブスカイト太陽電池の長期実証を開始

窓で発電するガラス型ペロブスカイト太陽電池の長期実証イメージ

パナソニック ホールディングスは2026年3月2日、技術部門の「西門真新棟」の窓部分にガラス型ペロブスカイト太陽電池を実装し、長期実証実験を開始すると発表しました。

太陽電池を屋上へ設置するだけでなく、建物の窓そのものを発電設備として利用する取り組みです。

今回の実証では、発電性能だけでなく、建材としての取り付け方法、電気配線、外観、光の透過性など、製品化に必要な条件を実際の建物で確認します。

目次

窓を発電場所に変える

都市部には多くのビルがありますが、太陽光パネルを設置できる屋上面積には限りがあります。

一方で、ビルには広い窓や壁面があります。これらを発電に利用できれば、屋上だけに依存せず、都市の建物全体で再生可能エネルギーを生み出せる可能性があります。

パナソニックHDが開発するガラス型ペロブスカイト太陽電池は、ガラス建材と発電機能を一体化する技術です。

発電効率だけでなく、窓として必要な明るさ、透過性、色、外観を調整できることが特徴です。

西門真新棟で長期実証

実証場所は、パナソニックHD技術部門の西門真新棟です。同施設は2026年4月の本格稼働を予定しており、その開始に先立って太陽電池を窓部分へ実装しました。

今回の実証では、意匠や透過性が異なる複数のサンプルを使用します。

主な検証項目は次のとおりです。

・建材としての取り付け方法
・太陽電池としての配線方法
・実際の建物環境での発電性能
・長期間使用した場合の耐久性
・光の透過性と室内環境
・外観と建築デザインの調和

研究室で高い発電性能を確認するだけでは、建材として販売できません。雨、温度変化、紫外線、振動などに耐えながら、安全に施工・配線できることを確認する必要があります。

今回の発表は、ガラス型ペロブスカイト太陽電池が研究開発から建物への実装検証へ進んだことを示しています。

インクジェット技術を製造に応用

パナソニックHDは、独自のインクジェット塗布技術をペロブスカイト太陽電池の製造へ応用しています。

発電層となる材料を必要な場所へ精密に塗布することで、大面積のガラス基板上にも均一な発電層を形成できます。

材料を狙った場所へ塗布できるため、材料の無駄を抑えながら、サイズや模様、光の透過性を調整できる可能性があります。

この設計自由度は、発電設備を建築デザインへ組み込むうえで重要な特徴です。

量産技術とフィールド実証も進行

パナソニックHDは2025年11月から、NEDOのグリーンイノベーション基金事業に採択された「ガラス型ペロブスカイト太陽電池の量産技術開発とフィールド実証」に着手しています。

量産技術の確立と、実際の使用環境における施工・性能検証を並行して進める計画です。

今後、長期実証の結果に加えて、量産設備、生産能力、製造原価、販売開始時期、採用物件が具体化するかが注目されます。

フィルム型とは異なる市場を狙う

積水化学工業が量産化を進めるフィルム型は、軽量性と柔軟性を生かし、荷重制限のある屋根などへの設置が期待されています。

一方、パナソニックHDのガラス型は、窓や壁面など、建物の外装と発電機能を一体化する市場を狙っています。

同じペロブスカイト太陽電池でも、製品の形状と想定用途は異なります。

フィルム型とガラス型がそれぞれ実用化すれば、屋根、窓、壁面という建物の複数の面を発電に利用できるようになります。

投資家が確認したいポイント

今後の確認項目は次のとおりです。

・西門真新棟での長期実証結果
・発電効率と経年劣化
・建築用ガラスとしての耐久性と安全性
・透過性と発電性能の両立
・大型ガラスを安定して製造する量産技術
・既存の建材や太陽電池と比較した導入コスト
・住宅会社、ゼネコン、ガラスメーカーとの連携
・製品販売と採用物件の具体化

窓で発電できるという技術的な魅力だけでなく、建築物として安全に施工でき、経済性を確保できるかが事業化の鍵になります。

未来産業地図の見方

今回の発表は、ガラス型ペロブスカイト太陽電池が実際の建物を使った長期検証へ進んだことを示す「実証」のシグナルです。

当サイトでは、実用化までの距離を「NEXT」、情報確度をパナソニックHDの公式発表に基づく「LV5」と評価します。

技術ページでは、積水化学工業によるフィルム型の量産計画と、パナソニックHDによるガラス型の建物実証を時系列で追跡します。

日本企業がそれぞれ異なる形状と用途から社会実装を進めることで、これまで発電に使えなかった屋根、窓、壁面が新たなエネルギー源になる可能性があります。

※本記事は公開情報に基づく情報提供を目的としたもので、特定企業の株式その他の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

参考資料

・パナソニック ホールディングス「ガラス型ペロブスカイト太陽電池を西門真新棟の窓部へ実装、長期実証実験を開始」(2026年3月2日)
・パナソニック ホールディングス「ガラス型ペロブスカイト太陽電池」公式サイト
・NEDO「グリーンイノベーション基金/次世代型太陽電池の開発」

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この記事を書いた人

趣味を兼ねた骨董品の売買を経て、株式やFXなどの投資に関心を持つようになりました。

投資先を考える根拠として日本企業の技術を調べる中で、見つけた情報とその後の進展を記録する必要性を感じ、AIの力を借りて「未来産業地図」を制作。

技術・企業・プロジェクトを結び付け、研究、実証、量産、商用化までの動きを継続して追跡しています。

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