ソフトバンクが約10年にわたって開発を続けてきた「空飛ぶ基地局」が、実用化に向けて日本上空へ進出します。
同社は2026年8月中旬以降、成層圏通信プラットフォーム「HAPS」の試験サービスを日本上空で実施し、2027年以降の商用サービス開始を目指します。
今回の計画は、基礎研究だけを目的とした飛行試験ではありません。実際の商用サービスを見据え、日本の気象条件における飛行性能、スマートフォンとの通信性能、既存の地上基地局への影響、地上設備を含めた運用方法を確認する「プレ商用サービス」です。
HAPSは高度約20kmを飛ぶ携帯電話基地局
HAPSは「High Altitude Platform Station」の略称です。
通信設備を搭載した無人航空機などを高度約20kmの成層圏に滞空させ、上空から広い地域へ携帯電話の電波を届けます。
一般的な人工衛星より地上に近いため、低遅延かつ大容量の通信を実現しやすいとされています。地上の携帯電話網と同じ周波数帯を利用することで、専用の衛星通信端末ではなく、普段使っているスマートフォンとの直接通信も想定されています。
ソフトバンクによると、同社が開発を進める大型HAPSは、1機で直径最大200kmの通信エリアを形成できる可能性があります。
日本で使用するのはSceyeのLTA型機体
今回の試験サービスには、米国の航空宇宙企業Sceyeが開発するLTA型HAPSが使われます。
LTAは「Lighter Than Air」の略で、ヘリウムの浮力を利用して上昇し、成層圏に長期間滞空する方式です。機体の全長は65mで、数カ月の滞空が想定されています。
ソフトバンクはSceyeへ出資するとともに、日本国内における同社HAPSのサービス展開について独占権を取得しています。
ソフトバンクが従来開発してきた、翼の揚力で飛行するHTA型に加え、先行しているLTA型を導入することで、HAPSの商用化を早める狙いがあります。
1万km以上の飛行と定点滞空を実証
日本での試験に先立ち、Sceyeの機体は2026年3月に米国ニューメキシコ州からブラジル沖まで飛行しました。
飛行期間は12日間を超え、飛行距離は1万km以上に達しました。さらに、88時間以上にわたり誤差1km以内の範囲で定点滞空できることを確認しています。
昼間に太陽光で発電・充電し、夜間はバッテリーから電力を供給する仕組みや、昼夜の温度変化に伴うヘリウムガスの膨張と収縮を制御する機能も検証されました。
今回の日本上空での試験では、台風や季節風なども含む日本特有の気象条件で、同等の飛行性能を維持できるかが重要な確認項目になります。
上空からスマートフォンへ直接通信
HAPSによる通信には、機体とスマートフォンを接続する「サービスリンク」と、機体を地上設備やインターネットへ接続する「フィーダリンク」が必要です。
ソフトバンクは日本上空での試験に向け、HAPS用の無線機からソフトバンクのコアネットワークまでを接続する試験を実施しました。この試験では、音声通話、SMS、データ通信が正常に利用できることを確認しています。
日本での試験サービスでは、高度約20kmを飛行するHAPSから地上のスマートフォンへ直接通信を届け、地上の携帯電話サービスと同等の品質を実現できるか検証します。
高知県に地上ゲートウェイを準備
HAPSを携帯電話網やインターネットへ接続するには、地上側にも設備が必要です。
ソフトバンクは高知県に、HAPSと同社の通信ネットワークを接続する地上ゲートウェイを準備しました。設備上部のアンテナが、上空を飛行するHAPSの位置を確認しながら自動的に追尾します。
災害時には、ゲートウェイ設備を車両などで被災地域の近くへ運び、短期間で設置する運用も想定されています。
ただし、地上設備が完全に不要になるわけではありません。HAPSの商用化では、飛行する機体だけでなく、地上ゲートウェイ、光回線、電源、携帯電話網との連携を含むシステム全体の整備が必要です。
大規模災害時の通信復旧に期待
HAPSの有力な用途が、大規模災害時の通信確保です。
地震、津波、台風などによって地上基地局や通信回線が被害を受けても、上空から広範囲へ通信を届けられれば、被災地の通信復旧を早められる可能性があります。
また、山間部、離島、海上など、地上基地局の設置が難しい地域への通信提供も期待されています。
将来的には、ドローン、無人航空機、自動運転車、船舶、IoT機器などを含む、地上と上空を一体化した3次元通信ネットワークの一部になる可能性があります。
商用化前に確認すべき課題
今回の試験サービスは実用化に向けた大きな進展ですが、商用化が確定したことを意味するわけではありません。
確認すべき主な課題は次の通りです。
・日本の気象条件で長期間安定して飛行できるか
・地上の基地局と電波干渉を起こさず運用できるか
・災害時に地上ゲートウェイを迅速に設置できるか
・機体の製造、保守、打ち上げ、回収にかかる費用
・航空機としての安全性と運航制度
・商用サービスの対象地域、料金および収益性
特に、HAPSの広い通信エリアと既存基地局の電波が重なる場合、互いの通信品質を低下させない制御が必要です。日本での試験では、この協調動作も重要な検証対象になります。
ソフトバンクの事業にはどう影響するのか
HAPSが商用化されれば、ソフトバンクは地上基地局、衛星通信、HAPSを組み合わせた通信サービスを提供できるようになります。
災害対策や圏外地域の解消に加え、ドローン運航、物流、設備点検、海洋通信、IoTなど、新しい法人向けサービスへつながる可能性があります。
一方で、サービス料金、導入機数、運用コスト、売上規模はまだ公表されていません。このため、現段階でHAPSがソフトバンクの業績に与える金額的な影響を判断するのは困難です。
投資の観点では、技術の話題性だけで判断せず、日本での飛行・通信試験の結果、商用サービスの開始時期、具体的な契約や提供地域、設備投資額が公表されるかを追う必要があります。
次に注目する発表
今後は、次の進捗が重要です。
・日本上空での飛行試験の完了
・音声通話、SMS、データ通信の試験結果
・日本の気象条件における定点滞空性能
・地上基地局との電波干渉試験の結果
・2027年以降の商用サービス開始時期
・最初の提供地域と利用用途
・自治体、官公庁、企業との契約
・サービス料金と事業規模
これらが発表された場合、HAPSの技術ページに新しい記事を関連付けることで、研究開発から商用化までの変化を時系列で確認できます。
まとめ
ソフトバンクのHAPSは、海外での技術検証を経て、日本でのプレ商用サービスへ移行する段階に入りました。
高度約20kmから一般的なスマートフォンへ通信を届ける仕組みが実用化されれば、災害時の通信復旧や、山間部・離島・上空の通信環境を大きく変える可能性があります。
ただし、現時点では日本での試験結果や具体的な商用サービスの条件は公表されていません。
2026年の日本上空での試験結果と、2027年以降に予定される商用サービスの具体化が、実用化を判断する次の重要な節目になります。
根拠資料
・ソフトバンク公式:空飛ぶ基地局「HAPS」がいよいよ日本上空へ
・ソフトバンク公式:HAPS、2026年に日本でプレ商用サービス開始
※この記事は公開情報を基に技術と事業計画を整理したものであり、特定の株式・金融商品の購入を推奨するものではありません。
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| 銘柄 | 売買日 | 区分 | 約定価格 | 株数 | ステータス | 詳細 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ソフトバンクグループ(9984) | 2026-09-29 | 買付 | 6,053円 | 1 | 保有中 | 売買記録詳細 |

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