TECHNOLOGY PROFILE
舶用水素燃料エンジン・MHFS
Marine Hydrogen Engine and Marine Hydrogen Fuel System (MHFS)
技術概要
舶用水素燃料エンジン・MHFSは、液化水素を燃料として商船を運航するための推進・燃料供給技術です。MHFSはMarine Hydrogen Fuel Systemの略で、液化水素を船内で貯蔵し、気化、圧力制御、安全監視を行いながらエンジンへ供給する、舶用水素燃料タンクおよび燃料供給システムを指します。
水素燃料船の実用化には、エンジンだけでなく、燃料タンク、配管、気化器、安全設備、船体配置、燃料補給、運航手順、船級認証を一体で成立させる必要があります。本技術では、川崎重工業、ヤンマーパワーソリューション、ジャパンエンジンコーポレーションが、用途や出力の異なる水素・ディーゼル二元燃料エンジンとMHFSを開発しています。
技術詳細
水素を船の主機関で使う難しさ
水素は燃焼時にCO2を排出しない一方、体積当たりのエネルギー密度が低く、極低温の液化水素として貯蔵する場合はマイナス253度付近の温度管理が必要です。船内で安全に貯蔵し、必要な圧力・温度に整えてエンジンへ送り、漏えいを防ぎながら長時間運航することが技術課題になります。
エンジンとMHFSを一体で開発する意味
大型商船の主機関には、高出力、長時間連続運転、燃料供給の安定性、保守性が求められます。MHFSは液化水素を貯蔵・気化・供給する役割を担い、エンジンは水素を安定燃焼させて推進力を生み出します。どちらか一方だけでは実船運航はできず、船体設計や安全設備も含めた統合が必要です。
二元燃料仕様の位置付け
開発中のエンジンは、水素とディーゼル燃料を切り替えられる二元燃料仕様です。水素供給が不安定な段階でも運航の冗長性を確保できる一方、完全なゼロエミッション運航を実現するには、水素の供給網と運用条件を整える必要があります。
想定用途
- 外航商船の主機関
- 多目的船、ばら積み船などの大型船舶
- 補機関・発電機関
- 電気推進船向け主発電機関
- 液化水素を燃料とする長距離・長時間運航
技術的課題
- 液化水素の船内貯蔵と気化・供給時の安全性
- 水素燃焼時の安定性、耐久性、燃料噴射装置の信頼性
- 燃料タンク・MHFSによる積載スペース減少
- 水素燃料の価格、供給港、バンカリング設備
- 船級規則・国際規制・乗組員の運用手順
- 実船での運航コストと貨物輸送採算性
