防衛省が「国産部品を活用した迎撃UAV」を公募
防衛装備庁は2026年10月2日、防衛省版SBIR制度として7件の研究開発課題の公募を開始しました。
注目されるのは、国内製造の部品・構成品を活用した迎撃用UAVシステムです。陸上自衛隊のニーズとして、自爆型UAVなどに自律的に対処できる仕組みを想定しています。
迎撃ドローンというと、機体そのものに目が向きがちです。しかし実際には、国産化の成否を決めるのは機体だけではありません。探知用センサー、通信、制御ソフトウェア、AIによる識別・判断支援、電源、推進系、量産に必要な部品供給まで、一つの供給網として機能する必要があります。
「早期調達」と「国内技術を育てる公募」は別の取り組み
防衛装備庁は、すでに迎撃ドローン早期取得プログラムを進めています。こちらは、既存または早期に転用できる技術を活用し、選定・試験・調達を短期間で進める仕組みです。
一方、今回の防衛省版SBIRは、将来の防衛ニーズに対応する研究開発をスタートアップなどから広く募る取り組みです。
両者を混同してはいけません。
早期取得は「いま使えるものを迅速に調達する」段階です。
SBIRは「次に必要になる国産技術と供給網を育てる」段階です。
防衛省が両方を並行させるなら、日本は海外製の完成機を導入するだけでなく、部品・ソフトウェア・運用技術まで含めた無人機産業を国内に形成しようとしていると読めます。
迎撃UAVだけではない7つの研究開発課題
今回の公募には、迎撃用UAV以外にも、国内製造の部品・構成品を活用した対処用小型UAV、水上艦対処用小型UAV、複数UAVによる洋上警戒監視の運用を最適化するAIが含まれます。
この並びが重要です。
迎撃機だけを開発しても、どこから脅威が来るかを把握できなければ機能しません。複数機を効率的に運用するAI、洋上で監視する無人機、陸上や艦艇から発進する対処用UAVがつながって初めて、無人機を活用した防衛能力になります。
つまり、防衛ドローン市場は単発の機体販売ではなく、監視、通信、AI、制御、部品、量産を含むシステム産業へ広がる可能性があります。
260社超の参加申し込みが示すもの
防衛大臣は、10月6日の説明会に向けて、すでに260社を超えるスタートアップが参加を申し込んだと説明しました。
これは採択企業数でも、応募件数でもありません。現時点で受注企業や採択企業を予想することはできません。
ただし、防衛分野への参入機会に対して、スタートアップ側の関心が高いことは示しています。防衛装備庁が求める技術領域は、ドローン専業企業に限りません。画像認識、センサー、通信、AI、サイバーセキュリティ、電池、軽量素材、製造自動化など、民生技術を持つ企業にも接点があります。
投資判断で急ぐべきでない理由
防衛需要の拡大だけを理由に、個別企業の業績寄与を断定することはできません。
今回の段階では、採択企業、契約額、研究期間、量産移行の条件、実際に国産化される部品範囲が未公表です。Terra Droneや三菱重工業、NEC、PFNなどを本件の受益企業として扱う根拠も、現時点ではありません。
投資判断では、次の順で確認する必要があります。
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採択企業はどこか
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研究開発費と契約期間はいくらか
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試作だけで終わるのか、調達・量産へ進む条件は何か
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国内部品の採用範囲はどこまでか
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保守、部品供給、ソフトウェア更新、運用支援を通じた継続的な収益基盤を築けるか
日本は「作る国」から「継続供給できる国」へ進めるか
迎撃ドローンは、短期間で実用化しなければ意味がありません。一方で、海外から完成機を導入するだけでは、仕様変更、補修、追加調達、ソフトウェア更新を自国の意思で進めにくいという課題が残ります。
今回の公募は、迎撃UAVを入口にして、日本が無人機の部品・AI・通信・生産技術をどこまで国内に取り戻せるかを問うものです。
未来産業地図では、採択企業、契約内容、国産部品の範囲、量産・調達への移行を継続して追跡します。
参考資料
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防衛装備庁「防衛省版SBIR:公募」
https://www.mod.go.jp/atla/sbir/open-call.html -
防衛省「防衛大臣記者会見(2026年10月2日)」
https://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2026/1002a.html -
防衛装備庁「防衛省版SBIR制度の公募開始について」
https://www.mod.go.jp/atla/houdou.html
※本記事は公開資料を基に、防衛無人機産業の進展を整理したものです。特定企業の株式購入や投資を推奨するものではありません。

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