リチウムイオン電池水平リサイクル技術

リチウムイオン電池水平リサイクル技術

TECHNOLOGY PROFILE

リチウムイオン二次電池のBattery to Battery水平リサイクル技術

Lithium-ion Battery-to-Battery Closed-loop Recycling Technology

技術概要

リチウムイオン電池水平リサイクル技術は、使用済み電池や電池製造工程から発生する中間物から、銅、ニッケル、コバルト、リチウムを回収し、再び電池材料として利用する技術です。住友金属鉱山の乾式・湿式製錬技術と、関東電化工業のリチウム回収技術を組み合わせます。

技術詳細

リチウムイオン電池には、銅、ニッケル、コバルト、リチウムなどの金属資源が使用されています。

これらの資源は産出地域が限られ、鉱山開発、国際情勢、輸出規制、為替、輸送網などの影響を受けます。

使用済み電池から金属を回収し、別の用途へ使用するだけではなく、再び電池材料として戻す方法が「Battery to Battery」の水平リサイクルです。

住友金属鉱山のプロセスでは、前処理された使用済み電池などを乾式製錬工程で処理します。高温処理によって不純物を分離し、銅やニッケル、コバルトを含む中間物を回収します。

続く湿式精錬工程では、溶液中の金属を分離・精製し、ニッケル・コバルト原料として電池材料の製造工程へ戻します。

リチウムは乾式処理時にスラグへ移行しやすいため、従来は効率的な回収が課題でした。

住友金属鉱山と関東電化工業は、このスラグからリチウムを取り出し、高純度な炭酸リチウムや水酸化リチウムなどへ再資源化する技術を開発しています。

住友金属鉱山は2017年から、使用済みリチウムイオン電池などから銅とニッケルを回収しています。回収したニッケルを正極材へ加工し、日本で初めて使用済み電池由来のニッケルを使ったBattery to Batteryの水平リサイクルを実現しました。

その後、コバルトとリチウムを含む統合リサイクルプロセスの開発を進めています。

この技術が商業化されれば、採掘した鉱石だけに頼らず、国内外で回収した使用済み電池を新たな資源として利用できます。

一方、技術的に金属を回収できることと、商業事業として利益を出せることは同じではありません。

使用済み電池の回収、輸送、無害化、破砕、選別、製錬、精製には費用とエネルギーが必要です。天然資源から作られた材料と比較して、品質と価格の両方で競争できることが求められます。

想定用途

  • 使用済みEV電池の再資源化
  • ハイブリッド車用電池の再資源化
  • 定置用蓄電池の再資源化
  • 電池工場で発生する工程廃材の処理
  • ニッケルの回収
  • コバルトの回収
  • リチウムの回収
  • 銅の回収
  • リサイクル正極材の製造
  • 国内電池材料供給網の構築
  • 海外から回収したブラックマスの国内精製
  • EU電池規則に対応する再生材料の供給

技術的課題

  • 使用済み電池の安定的な確保
  • 電池の安全な回収と輸送
  • 発火を防ぐ無害化処理
  • 電池ごとに異なる材料構成への対応
  • ブラックマスに含まれる不純物
  • リチウムの回収率
  • ニッケルとコバルトの回収率
  • 回収材料の純度
  • 再生正極材の電池性能
  • 処理時のエネルギー消費
  • CO₂排出量
  • 天然資源由来材料との価格競争
  • 金属価格下落時の採算性
  • LFP電池普及による回収金属価値の変化
  • リサイクル設備の連続稼働率
  • 顧客企業による材料認定

この技術を使用するプロジェクト

この記事を書いた人

趣味を兼ねた骨董品の売買を経て、株式やFXなどの投資に関心を持つようになりました。

投資先を考える根拠として日本企業の技術を調べる中で、見つけた情報とその後の進展を記録する必要性を感じ、AIの力を借りて「未来産業地図」を制作。

技術・企業・プロジェクトを結び付け、研究、実証、量産、商用化までの動きを継続して追跡しています。

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