TECHNOLOGY PROFILE
次世代SDV共通E&Eアーキテクチャー
Common E/E Architecture for Next-Generation Software-Defined Vehicles
技術概要
次世代のソフトウェアデファインドビークルを構成する高性能メインECU、ゾーンECU、車載OS、ミドルウェア、車両制御ソフトウェアを共通化し、車両機能をソフトウェアによって継続的に開発・更新する技術基盤です。
技術詳細
自動車には、エンジン、モーター、電池、ブレーキ、ステアリング、空調、先進運転支援、車内情報機器などを制御する多数のECUが搭載されています。
従来の自動車では、それぞれの機能ごとにECUとソフトウェアを開発する分散型の構成が一般的でした。しかし、車両機能が高度化するにつれて、ECUの数、配線、通信量、ソフトウェアの組み合わせが増大し、開発や検証が複雑になっています。
次世代SDVでは、多数の機能を高性能なメインECUへ集約し、車両の各領域をゾーンECUで管理する構成へ移行します。
日産自動車とHondaが共同開発する対象は、次の通りです。
- SoCを使用する高性能メインECU
- 車両の各エリアを統括するゾーンECU
- 車載OS
- ミドルウェア
- 車両制御ソフトウェアの主要部分
- これらを統合するE&Eアーキテクチャー
E&Eアーキテクチャーは、Electrical and Electronic Architectureの略称です。車載コンピューター、センサー、アクチュエーター、通信ネットワーク、ソフトウェアをどのように配置し、接続し、制御するかを定める車両全体の電子基盤を指します。
この基盤を共通化すると、両社が車種ごとに似たECUや基本ソフトウェアを別々に開発する重複を減らせる可能性があります。
共通基盤の上で各社が独自のアプリケーション、運転感覚、先進運転支援、車内UX、エネルギー制御などを開発できれば、基礎部分の開発費を分担しながら、商品としての違いを残せます。
一方、共通化する範囲が広がりすぎると、車両の個性が薄れる可能性があります。また、共通ソフトウェアに重大な不具合やサイバーセキュリティ上の問題が発生した場合、両社の多数の車種へ影響が広がる危険があります。
現時点では、共同開発するECUの演算性能、使用するSoC、製造企業、車載OSの名称、ソフトウェアの権利関係、OTA更新の仕組みなどは公表されていません。
Hondaは独自のビークルOS「ASIMO OS」を開発し、Honda 0シリーズへ搭載する方針を示しています。
日産自動車も、車両OSとクラウド上のデータ基盤を含む「日産 スケーラブル オープン ソフトウェア プラットフォーム」を開発しています。
ただし、今回の共同開発契約では、ASIMO OSと日産の車両OSを統合するのか、どちらかを共通基盤にするのか、共通部分の上にそれぞれのOSを残すのかは明らかにされていません。
この技術の進展を判断するには、共通仕様の完成だけでなく、試作ECU、仮想開発環境、実車搭載試験、量産車への採用が必要です。
技術的課題
- 両社の既存ソフトウェア資産の統合
- ASIMO OSと日産独自車両OSの役割整理
- 高性能SoCの選定
- メインECUとゾーンECUの構成
- 異なる車種へ対応できる拡張性
- リアルタイム制御と安全性
- サイバーセキュリティ
- OTA更新時の安全確認
- ソフトウェア障害時の責任分担
- 車両データの管理
- 両社独自機能との接続
- 半導体と電子部品の安定調達
- 量産時のコスト低減
- 長期間の保守と更新
想定用途
- 電気自動車
- ハイブリッド車
- 次世代エンジン車
- 先進運転支援システム
- 自動運転
- 車両運動統合制御
- 電池・エネルギー管理
- 車内デジタルサービス
- OTAソフトウェア更新
- クラウド連携
- AIを利用した車両機能
- 購入後の機能追加
