AI半導体の量産コストを半分に? TOWAが次世代封止装置「INNOMS」を販売開始

AI半導体の量産コストを半分に

AI半導体の需要拡大を支えているのは、半導体を設計する企業や製造する工場だけではありません。

完成した半導体チップを壊れにくい製品へ仕上げる「後工程」にも、日本企業が高い競争力を持つ製造装置や材料があります。

京都市に本社を置くTOWA株式会社は、次世代コンプレッションモールディング装置「INNOMS(イノモス)」を、2026年8月から販売すると発表しました。

同社は、INNOMSによって半導体パッケージの量産コストを従来装置比で約50%削減することを目標としています。

目次

半導体を樹脂で守る「封止装置」

半導体チップは、そのままでは熱や湿気、衝撃などの影響を受けやすく、非常に細い配線も傷つきやすい状態です。

そこで半導体製造の後工程では、チップや配線の周囲を樹脂で覆い、外部環境から保護する封止処理が行われます。この工程で使用されるのがモールディング装置です。

TOWAは、半導体モールディング装置と超精密金型を主力とする日本の半導体製造装置メーカーです。同社の公表資料では、2024年度の半導体モールディング装置における世界シェアを64.8%としています。

樹脂を流し込まず、押し当てて成形する

半導体の樹脂封止には、主にトランスファ方式とコンプレッション方式があります。

トランスファ方式では、溶かした樹脂を金型内へ流し込んで半導体チップの周囲を固めます。

一方、コンプレッション方式では、先に金型へ液状または顆粒状の樹脂を入れ、溶けた樹脂へ半導体部品を押し当てて成形します。

樹脂の流動が少ないため、微細な配線や薄い半導体チップにかかる負担を抑えやすくなります。また、樹脂を流すための通路が不要となり、材料の使用効率を高められることも特徴です。

半導体の高集積化や薄型化が進み、大型のウェハやパネルをまとめて処理する必要が高まる中で、コンプレッション方式の重要性が増しています。

INNOMSが掲げる5つの改善

TOWAが発表したINNOMSの主な性能は、同社の従来装置との比較で次のようになっています。

  • 量産コスト:約50%削減を目標

  • 1台当たりの生産性:2倍

  • 装置の設置面積:40%削減

  • 消費電力:50%削減

  • 消耗品材料:25%削減

装置を単純に高速化するだけではなく、工場内の床面積、電力、消耗品、設備投資効率まで含めて量産コストを下げる設計です。

対象となる半導体パッケージも、メモリを中心に、ロジック半導体、QFN、RFモジュールなど幅広く想定されています。

AI半導体の成長を支える後工程

生成AIやデータセンターの拡大により、高性能メモリを含む半導体需要が増加しています。

しかし、半導体の性能を高めるには、チップの微細化だけでなく、複数のチップやメモリを効率よく組み合わせる先端パッケージ技術が重要になります。

パッケージが大型化・高密度化するほど、薄いチップや細い配線を損傷させず、均一に樹脂封止する難易度も上がります。

INNOMSは、こうした半導体後工程の量産能力とコストの問題を解決するために投入される装置です。

今後確認すべきポイント

INNOMSは販売開始段階に入っていますが、現時点では受注企業名、受注台数、販売価格、売上高への寄与額は公表されていません。

今後は、次の情報を継続して確認する必要があります。

  • 最初の採用企業や出荷先

  • 受注台数と受注金額

  • AI向けメモリや先端パッケージ工場での採用

  • 海外半導体メーカーへの導入

  • INNOMSの生産能力増強

  • TOWAの装置売上高と利益への寄与

  • 量産現場でのコスト削減効果

特に「量産コスト約50%削減」が実際の顧客工場でどの程度実現されるかが、今後の普及を判断する重要なポイントになります。

まとめ

AI半導体というと、GPUや最先端工場に注目が集まりがちです。しかし、半導体を量産可能な製品へ仕上げるには、樹脂封止、研磨、接合、切断、検査といった多くの後工程が必要です。

TOWAのINNOMSは、その中でも半導体チップを樹脂で保護する封止工程の生産性とコストを改善する装置です。

販売開始後に採用企業や受注実績が明らかになれば、日本の半導体製造装置企業がAI市場の拡大をどのように取り込むのかを判断する材料になります。

当サイトでは、INNOMSの受注、導入企業、量産実績、業績への寄与について、今後も継続して確認します。

根拠資料

※本記事は企業の公式発表を基に技術・事業動向を整理したものであり、特定の株式その他の金融商品の購入を推奨するものではありません。

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この記事を書いた人

趣味を兼ねた骨董品の売買を経て、株式やFXなどの投資に関心を持つようになりました。

投資先を考える根拠として日本企業の技術を調べる中で、見つけた情報とその後の進展を記録する必要性を感じ、AIの力を借りて「未来産業地図」を制作。

技術・企業・プロジェクトを結び付け、研究、実証、量産、商用化までの動きを継続して追跡しています。

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