ロバスト低ブーム設計技術

低ソニックブーム設計

TECHNOLOGY PROFILE

ロバスト低ソニックブーム設計技術

Robust Low-Boom Design Technology

技術概要

超音速飛行で発生する衝撃波を機体形状によって制御し、飛行経路直下だけでなく側方や設計条件以外でもソニックブームを低減する技術。

技術詳細

航空機が音速を超えて飛行すると、機首、胴体、主翼、尾翼などの周囲に衝撃波が発生します。

それぞれの衝撃波は大気中を伝わる間に重なり、地上では急激な圧力変化として観測されます。これが、大きな衝撃音となるソニックブームです。

ソニックブームは音速を超えた瞬間だけに発生するものではありません。航空機が超音速で飛び続けている間、飛行経路に沿って地上へ届き続けます。

低ブーム設計では、機首の長さ、胴体断面の変化、主翼と尾翼の形状や配置、機体全体の揚力分布などを調整します。

機体各部から発生する衝撃波が一か所へ集中しないように分散させ、地上へ届く圧力変化をなだらかにすることで、ソニックブームを低減します。

JAXAが開発する「ロバスト低ブーム設計技術」の特徴は、特定の飛行条件だけを対象にしないことです。

従来の低ブーム設計は、設計した巡航速度で飛び、飛行経路の直下で測定する条件を中心に最適化されていました。

一方、実際の旅客機では速度、高度、飛行姿勢、気象条件が変化します。地上で音を聞く人も、飛行経路の真下だけにいるわけではありません。

ロバスト低ブーム設計技術は、次の条件でもソニックブームを抑えることを目指します。

  • 設計巡航速度とは異なる速度
  • 加速中など巡航時以外の状態
  • 飛行経路の直下だけでなく側方
  • ブームカーペットと呼ばれる広い地上範囲

JAXAは2015年のD-SENDプロジェクトで、低ソニックブーム設計の基本概念を飛行実証しました。

現在のロバスト低ブーム設計技術は、その成果を発展させ、実際の旅客運航に近い幅広い条件で低ブーム効果を維持しようとするものです。

技術の検証では、数値流体力学によるコンピューター解析、縮小模型を使った超音速風洞試験、無人実証機による飛行試験を段階的に行います。

低ブーム化だけで実用的な旅客機になるわけではありません。安全性、空気抵抗、航続距離、燃費、客室容量、離着陸時の騒音なども同時に成立させる必要があります。

そのため、この技術は単独の製品ではなく、次世代超音速旅客機の統合設計を支える基盤技術として位置付けられます。

この技術を使用するプロジェクト

この記事を書いた人

趣味を兼ねた骨董品の売買を経て、株式やFXなどの投資に関心を持つようになりました。

投資先を考える根拠として日本企業の技術を調べる中で、見つけた情報とその後の進展を記録する必要性を感じ、AIの力を借りて「未来産業地図」を制作。

技術・企業・プロジェクトを結び付け、研究、実証、量産、商用化までの動きを継続して追跡しています。

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