NTTの光電融合デバイス「PEC-2」が2026年商用化へ AIデータセンターの電力問題を光で変える

NTTの光電融合デバイス「PEC-2」

生成AIの急速な普及によって、データセンターの消費電力が世界的な課題になっています。

大量のGPUを動かす電力だけでなく、サーバー間で膨大なデータを移動させる通信にも多くの電力が必要です。この問題に対してNTTが商用化を進めているのが、IOWN 2.0の中核技術となる光電融合デバイス「PEC-2」です。

目次

電気配線の一部を光へ置き換える

現在のコンピューターやネットワーク装置では、主に電気信号を使ってデータを送っています。しかし、通信量と伝送速度が高まるほど、消費電力と発熱が大きくなります。

PEC-2は、データセンター内部のラック間やコンピューター内部のボード間接続に光技術を導入するデバイスです。

電気信号だけに頼っていたデータ伝送の一部を光へ置き換えることで、高速・大容量通信と消費電力の削減を両立させます。

万博で実際のシステムとして稼働

PEC-2は研究室だけの技術ではありません。

NTTは大阪・関西万博のNTTパビリオンにおいて、PEC-2とコンピューター資源を効率よく配分する制御技術を組み合わせた「IOWN光コンピューティング」を実装しました。

NTTによると、このシステムでは対象となる処理の消費電力を従来の8分の1に抑えています。

ただし「8分の1」はPEC-2単体の性能ではなく、光電融合デバイスとリソース制御技術を組み合わせたシステム全体での成果です。

NTTは大阪・関西万博でIOWN光コンピューティングを実装し、リソース制御技術と組み合わせて対象部分の消費電力を従来の8分の1に抑えたと説明しています。
出典:NTT「IOWN光コンピューティングの実装」

2026年第4四半期に商用提供予定

NTTはPEC-2を搭載した光電融合スイッチについて、2026年第4四半期の提供開始を予定しています。

製品はNTTのPEC-2、米Broadcomのスイッチ用半導体、台湾Accton Technologyのシャーシを組み合わせた構成です。

通信容量は102.4Tbpsで、NTTの資料ではスイッチ単体の消費電力を約50%削減できるとしています。

構成企業、性能、提供時期が示されているため、PEC-2は基礎研究ではなく、製品化と量産の工程に入った技術と判断できます。

出典:NTT「第41回定時株主総会にあたり事前に寄せられた質問への回答」
製品構成の出典:NTT「MWC Barcelona 2026 基調講演レポート」

月産最大3万台を視野に生産体制を整備

製造を担当するNTTイノベーティブデバイスは、組立・実装・検査工程の自動化を進めています。

NTTの計画では、1ライン当たりの生産能力を月間5,000台へ拡大し、需要に応じて少なくとも3ラインに増強します。昼夜の生産体制まで含めると、最大月間3万台まで対応できる体制を想定しています。

これは販売台数の確約ではありませんが、将来の需要拡大に備えた具体的な量産計画が示されたことは重要です。

出典:NTT「2026年2月 IRプレゼンテーション」PDF

NTTの業績をすぐ大きく変えるのか

PEC-2が商用化されても、直ちにNTT全体の業績を大幅に押し上げるとは限りません。

販売価格、受注数、利益率、顧客名はまだ公表されていないためです。初期段階では売上規模よりも、大手クラウド事業者やAIデータセンターで採用実績を作れるかが重要になります。

一方、AI向けデータセンターでは電力確保が設備増設の制約になっています。PEC-2の採用が広がれば、NTTは通信サービス会社に加えて、AIインフラを支える光デバイス企業として新しい収益源を持つ可能性があります。

今後確認したいポイント

今後は次の動きを追跡します。

・2026年第4四半期に予定どおり提供を開始できるか
・光電融合スイッチの受注先
・PEC-2の実際の生産台数
・生産ラインの増強状況
・大手クラウド事業者への採用
・売上高と利益への寄与
・2028年に予定されるPEC-3への移行

NTTのIOWN構想は、遠い未来の研究だけではありません。PEC-1はすでに商用化され、PEC-2は2026年の製品提供と量産準備へ進んでいます。

AI時代の電力問題を日本の光技術で解決できるのか。2026年第4四半期の商用提供と、その後の受注状況が最初の重要な判断材料になります。

※本記事は企業の技術開発と事業計画を整理するものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。

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この記事を書いた人

趣味を兼ねた骨董品の売買を経て、株式やFXなどの投資に関心を持つようになりました。

投資先を考える根拠として日本企業の技術を調べる中で、見つけた情報とその後の進展を記録する必要性を感じ、AIの力を借りて「未来産業地図」を制作。

技術・企業・プロジェクトを結び付け、研究、実証、量産、商用化までの動きを継続して追跡しています。

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