TECHNOLOGY PROFILE
透明導電体ナノシート光センサー
Transparent Conductive Nanosheet Photodetector
技術概要
原子数個分、約1ナノメートル級の酸化亜鉛ナノシートを用いる超薄膜光センサーです。高い透明性、高感度な可視光検出、高温環境での安定動作を両立し、赤・緑・青の光を単一画素内で識別するフォトディテクタとして実証されています。
従来のカメラ用イメージセンサーでは、RGBごとにフィルタや受光素子を配置します。透明導電体ナノシートを積層する方式は、単一画素の多機能化によって、小型化・高集積化・製造工程の簡略化を目指す技術です。
技術詳細
厚さ約1ナノメートルの光検出材料
透明導電体ナノシートは、原子数個分の厚みを持つ二次元材料です。名古屋大学の研究グループは、ガリウムを添加した酸化亜鉛ナノシートを用い、高透明性、高感度な可視光検出、高耐熱性を兼ね備えたフォトディテクタを開発しました。
酸化亜鉛は化学的に安定したワイドギャップ半導体ですが、従来は可視光への応答性に課題がありました。ガリウム添加によって電子状態を制御し、可視光をほぼ透過しながら高い応答性を示すナノシートを実現しています。
RGBを単一画素で識別する
異なる波長に応答する光フィルタを垂直方向に積層することで、赤・緑・青の光を単一画素内で識別するオールインワンRGBフォトディテクタを構築しました。
一般的なカメラは、複数の画素とカラーフィルタを組み合わせて色情報を取得します。単一画素内でRGBを識別できれば、将来的にはセンサーの小型化、高集積化、高解像度化につながる可能性があります。
高温環境に耐える可能性
名古屋大学の実証では、フォトディテクタが大気中400℃の高温環境でも安定した光応答を維持しました。宇宙、車載、高温設備、高放射線環境向けの次世代光デバイスとしての応用が期待されています。
ただし、放射線環境での長期耐久性や、人工衛星・原子炉ロボットに搭載した実証が完了したわけではありません。現時点で確認されているのは、高温下での動作実証と、極限環境への応用可能性です。
製造面の特徴
ナノシートは室温の溶液プロセスで積層できるため、高温プロセスや複雑な微細加工を減らせる可能性があります。ディメンジョンフォーは、真空蒸着装置を用いずにナノシート薄膜を製造する液相プロセスと、量産用の自動製膜装置を開発しています。
研究室で高性能な素子を作る段階から、均一な品質で大面積・大量に製造する段階へ移行できるかが、実用化の核心です。
想定用途
- 宇宙機・人工衛星向けの小型・高耐久光センサー
- 車載カメラ、監視カメラ、イメージセンサー
- 高温環境で稼働する産業機器・ロボット
- 原子力施設など極限環境向けの画像取得装置
- IoTセンサー、光通信、医療イメージング
- フレキシブル透明デバイス
